一度目の楽しみ

 五年前に一株植えたユキザサが年々株数を増やし、今年も占有面積を増やして開花。前は茎や葉が頼りなく、花が際立っていたが、今は、小花の集団が頼りなげに見える。

 ドナルドキーンは著作のなかで、日本人が桜を愛でるのは花の儚さ故にだろうと言っている。花の命は短くてであるが、その後の楽しみがあるものもある。この可憐な花の後、小さな緑色の実を房状につける。秋になるとそれが、真っ赤に熟して、小さな珊瑚玉のようになる。それがまた可憐なのだ。

 二度楽しみのあるユキザサは、儚いものではない。さらにその実は落下して翌春芽を出す。こうして彼らは我が家で増えていった。花の姿のわりには逞しい奴なのだ。一度目の楽しみありがとう。

at 12:33, オーナー, -

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